親が亡くなるのはまだまだ先の話と思っていましたが、実際に直面するといろいろな問題が出てきます。
「うちは家族仲がいいから大丈夫」と思っていませんか?
実は、相続トラブルの多くが“普通の家族”で起きているんです。
この記事では、相続でもめないために、生前からできる5つの工夫をご紹介します。あとで家族を困らせないためにも、ぜひ参考にしてみてくださいね。
1.遺言書を用意しておく

最も効果的なのが「遺言書」を残すことです。
「この家は長男に」「預金は妻に」など、分け方を明確にしておけば、家族の間で争いになるリスクがぐっと減ります。
遺言書のポイント
- 公正証書遺言:公証役場で作成。最も確実。
- 自筆証書遺言:自分で書けるが、不備に注意。
遺言がなかった場合、「車は誰が乗るの?」「形見分けって何を基準にするの?」と混乱が続くこともあります。
しっかりと形にしておくことをおすすめします。
2.財産の内容と所在を“見える化”する

「何を持っているか分からない」こともトラブルの原因になります。
通帳、保険証券、不動産の登記書類…どこにあるのか、誰にも伝えていないと、後々みんなが探し回ることになります。
こんなリストを作っておこう
- 金融資産の一覧(銀行名、支店名)
- 不動産情報(住所・登記簿謄本など)
- 借金やローンがあればその詳細
- 生命保険・年金情報
実際に、渡しの場合、父の通帳が見つからず、解約に半年かかったこともありました…。
「財産の棚卸し」は元気なうちに済ませておくのが一番です。
3.家族で定期的に話し合う時間を持つ
相続は「財産の分配」だけでなく、「気持ちの整理」にも関係します。
だからこそ、生前から少しずつ話し合いの場を設けておくことが大切です。
「どこに住みたいか」「家は誰に継いでほしいか」など、普段は言いづらいことも、落ち着いて話す場を作ればお互いの気持ちも見えてきます。
☕ おすすめは「お茶の間会議」
定期的に、堅苦しくない形で家族会議をしておくと、「あの時言ってたね」という共通認識ができます。

4.生前贈与をうまく活用する

「元気なうちに子どもたちに資産を少しずつ渡しておく」=生前贈与も有効な方法です。
相続税対策にもなりますし、「不動産は長男、現金は次男へ」といった形で先に調整しておけば、争いの火種が減ります。
ただし、贈与税の非課税枠(年110万円)などルールがあるので、税理士など専門家に相談して計画的に進めましょう。
生前贈与(せいぜんぞうよ)とは、「亡くなる前に、自分の財産を家族などに贈り渡すこと」を言います。つまり、自分が生きているうちに、財産を譲る行為のことです。
💡たとえばこんなケースが「生前贈与」
- 両親が子どもに住宅資金として500万円を贈る
- おばあちゃんが孫に毎年お年玉として110万円を渡す
- 高齢の親が、介護をしてくれている長女に土地の名義を移す
生前贈与のメリットとは?
メリット | 内容 |
---|---|
相続税対策になる | 財産をあらかじめ渡すことで、相続時の課税対象額を減らすことができる。 |
意思を伝えやすい | 生きているうちに「誰に何を渡したいか」を明確に伝えられる。 |
もめごとを減らせる | 生前に分け方を説明しておけば、家族間のトラブル予防に。 |
⚠️ 生前贈与に注意が必要な理由
注意点 | 内容 |
---|---|
税金がかかることも | 年間110万円を超える贈与には、贈与税がかかります。 |
相続開始3年以内の贈与は対象に含まれる | 亡くなる直前の贈与は「相続税の対象」になることがあります。 |
証拠を残すことが重要 | 書面(贈与契約書など)を作っておかないと、あとで「もらっていない」と言われるリスクも。 |
生前贈与はこんな方におすすめ!
- 相続税がかかりそうな方(資産が3,600万円以上ある方など)
- 特定の人に確実に財産を残したい方
- 相続で家族が争うのが心配な方
- 子や孫の住宅取得・教育資金を援助したい方
👇 よく使われる生前贈与の制度(簡単に)
- 年間110万円までの基礎控除
- 住宅取得資金の贈与⇒ 最大1,000万円まで非課税(期限あり)
- 教育資金の一括贈与⇒ 孫などに1,500万円まで非課税(30歳まで)
- 結婚・子育て資金の贈与⇒ 1,000万円まで非課税(条件あり)
一定の条件を満たせば、110万円を超えても非課税になる制度もあります。
※これらは金融機関経由で手続きが必要です。
年間110万円までの非課税枠とは?
贈与税は、もらった人が年間110万円までなら課税されません(基礎控除)。
もらった金額 | 贈与税 | 申告の必要 |
---|---|---|
80万円 | かからない | 不要 |
110万円 | かからない | 不要 |
150万円 | 40万円に課税 | 必要 |
ポイント:この枠は「もらった人ごと」「1年ごと」に適用されます。
生前贈与の手続きの流れ(全体図)
生前贈与の基本的な流れは以下の5ステップです。
- 贈与する相手・内容を決める
例:長男に現金100万円、孫に教育資金など - 贈与契約書を作成
口頭だけではトラブルのもと。書面で残しましょう。 - 実際に贈与(お金の振込など)
通帳など記録が残る形が安心です。 - 必要に応じて贈与税の申告
非課税枠を超えた場合は税務署へ申告。 - 贈与の証拠を保管
契約書・振込明細などを大切に保管しておきましょう。
📝 贈与税の申告方法(簡単3ステップ)
非課税枠を超えた場合は、翌年の2月1日〜3月15日の間に申告が必要です。
- 必要書類を準備
- 贈与税申告書
- 贈与契約書
- 財産の明細(通帳コピーなど)
- 税務署へ提出
住所地を管轄する税務署に提出。郵送やe-Taxも可能。 - 納税
期限内に納付(銀行・コンビニ・ネットバンキングなど)。
ヒント:税理士さんに相談すれば、書類の作成から申告までサポートしてくれます。
まとめ:生前贈与は早めの準備が安心です
生前贈与は、家族に「感謝の気持ち」を形にできる方法です。
ただし、税金や書類など少しややこしい面もあるので、非課税枠を活かしながら、正しい手順で行うことがとても大切です。
少しでも不安があれば、税理士・司法書士・行政書士などの専門家に相談してみましょう。
5.第三者(専門家)を間に入れておく

相続は法律や税金が関わるため、プロの助けを借りるのが安心です。
💡 相談できる専門家
- 司法書士:登記や相続人の調査など
- 税理士:相続税・贈与税の相談
- ファイナンシャルプランナー(FP):全体のライフプラン設計
- 遺品整理士:家の整理や形見分けのサポート
第三者の視点が入ることで、家族間の対立を避けやすくなります。
「親のことで専門家に相談するのは…」と思うかもしれませんが、実際に相談してみると「もっと早く頼ればよかった!」という声が多いんです。
まとめ:準備しておくことで、家族の“ありがとう”が増える
相続トラブルは、お金の問題というよりも「気持ちのすれ違い」で起こることが多いと実感しています。
だからこそ、生前からのちょっとした工夫や声かけ、準備が、家族の未来を大きく変えてくれます。
「自分にはまだ早いかな…」と思った今が、実はベストなタイミングかもしれません。
未来の「ありがとう」のために、今日からできることを一歩ずつ始めてみませんか?
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