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相続放棄の申述書とは?記入例と必要書類をわかりやすく解説

亡くなった親に多額の借金があることがわかり遺産相続を放棄したいという場合もありますね。最近では空き家の処理に困って相続放棄したという話も聞きます。

この記事では遺産放棄の申述書の書き方と進め方、注意すべきポイントをまとめました。

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目次

相続放棄の申述書とは

家庭裁判所に対して「相続を放棄します」と正式に申し出るための法的な書類です。
被相続人(亡くなった方)の借金や負の財産を引き継ぎたくないときに、この書類を提出することで、相続放棄が成立します。

📄 相続放棄の申述書のポイント

いつ提出するの?

  • 相続開始(被相続人の死亡)を知った日から3か月以内に提出します。
  • この期間を「熟慮期間」と呼びます。

どこに提出するの?

  • 被相続人の「最後の住所地を管轄する家庭裁判所」です。

各家庭裁判所:👉 裁判所管轄区域一覧

誰が提出できるの?

  • 法定相続人(配偶者、子、親、兄弟姉妹など)

📎 相続放棄の申述書に必要な主な情報

記載内容説明
被相続人の情報名前、死亡年月日、本籍、最後の住所など
相続人(申述人)の情報名前、生年月日、住所、本籍など
相続放棄の理由借金がある、遺産を不要と判断した等(簡潔に)

📦 添付書類

相続放棄の申述書には、以下のような書類を添えて提出します。

  • 被相続人の【死亡の記載のある戸籍謄本】
  • 申述人の【戸籍謄本】
  • 相続関係説明図(任意)
  • 収入印紙(800円)
  • 郵便切手(裁判所によって異なる)

📝 書式の入手先

⚠ 注意点

  • 一度受理されると、撤回は原則できません
  • 途中で遺産に手を付けると、放棄が認められないこともあります。

📄 相続放棄の申述書【見本】

家庭裁判所 御中

【事件の表示】
 被相続人 山田 太郎
 令和○年○月○日死亡
 本籍 東京都○○区○○町1丁目2番3号
 最後の住所 東京都○○区○○町1丁目2番3号

【申述人】
 住所 東京都新宿区西新宿1丁目1番1号
 本籍 東京都新宿区西新宿1丁目1番1号
 氏名 山田 花子(自署または記名捺印)
 生年月日 昭和55年5月5日

【申述の趣旨】
 上記被相続人の相続について、相続の放棄をします。

【申述の理由】
 被相続人には借金が多く、資産を上回っていたため。

【添付書類】
 1. 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本 1通
 2. 申述人の戸籍謄本 1通

令和○年○月○日

(署名・押印)

(収入印紙800円貼付欄)

相続放棄申述書のWordテンプレート(記入例付き)を以下のリンクからダウンロードできます。

必要に応じて、家庭裁判所の正式書式に転記してご利用ください。

✍️ 記入時の注意点と解説

項目ポイント
事件の表示被相続人の氏名・死亡日・本籍・住所を正確に記入します。
申述人情報自分の現在の住所、本籍(戸籍のある場所)、氏名、生年月日を記載します。
申述の趣旨「相続を放棄します」と明確に一文で書くのが基本です。
申述の理由簡潔でOK。「借金が多い」「不要と判断した」など理由は自由ですが、正直に。
日付と署名書類作成日を記入し、署名または記名押印します。
収入印紙書類には800円の収入印紙を貼ります(現金や切手は不可)。
郵便切手裁判所によって異なるので、提出先の家庭裁判所に要確認。

相続放棄の費用目安(申述1件あたりの実費)

費用項目金額(目安)
収入印紙800円
戸籍謄本(2通程度)約900~1,200円
郵便切手400~1,000円(各裁判所による)

補足アドバイス

  • 記入内容に不安がある方は、司法書士や行政書士にチェックを依頼するのもおすすめです。
  • 提出は原則、郵送または家庭裁判所の窓口へ持参します。
  • 相続人が複数人いる場合、それぞれが個別に申述書を提出する必要があります(連名は不可)。

相続放棄が必要なケースの具体例

① 親が多額の借金を残していたケース

📌実例:消費者金融から督促状が届いたAさんの場合

Aさんの父が亡くなって1週間後、見覚えのない会社から「〇〇万円の返済を求める通知」が届きました。父は生前、複数の消費者金融から借入をしていたことが発覚。
遺産はほとんどなく、家も借家。Aさんは父の借金を背負いたくなかったため、死亡を知ってからすぐに相続放棄を申述し、債務から免れることができました。

② 相続する財産よりも借金のほうが多いとわかっているケース

📌実例:実家はあるが、抵当権がついていたBさんの場合

Bさんの母が亡くなり、実家の土地と建物を相続できるはずでした。しかし、調査の結果、母名義の家には住宅ローンの残債が約1,000万円あり、しかも抵当権付き。
家を売却してもローンの返済には届かず、残債を背負うリスクがあると判断し、Bさんは相続放棄を選びました。不動産がある=得とは限らないという例です。

③ 亡くなった親と長年疎遠で、財産の状況が不明なケース

📌実例:30年音信不通だった父の死を知ったCさんの場合

Cさんは幼いころに離婚して別れた父と長年連絡を取っていませんでしたが、突然の死亡通知と相続に関する書類が届きました。
父の生活状況も財産状況も全く分からず、「借金があるかもしれない」と不安に。Cさんはリスク回避のため、念のため相続放棄を行いました。

④ 親族間で相続トラブルを避けたいケース(円満放棄)

📌実例:「財産は兄に任せたい」と思ったDさんの場合

Dさんの父が亡くなった際、兄が長年父の介護を担っていたため、「財産は兄が受け取るべきだ」と考えました。法定相続人としてDさんにも相続権はありましたが、相続を主張すると兄弟関係にヒビが入ると判断し、家庭裁判所に申述して相続放棄しました。

⑤ 賃貸物件の保証人になっていたケース

📌実例:亡くなった母が保証人だったEさんの場合

Eさんの母が友人の賃貸契約の保証人になっていたことが、亡くなった後に判明しました。
友人が滞納していた家賃の支払い義務が、母の死後にEさんへ請求される恐れがあるとわかり、保証債務も相続対象になるため、Eさんは相続放棄を選択しました。

📝 補足ポイント

  • 相続放棄は、プラスの財産だけでなくマイナスの財産(借金・保証債務など)も含めて全て放棄する制度です。
  • 一部の財産だけを相続して、借金は放棄…ということはできません。
  • 特に「よく知らない親族」や「資産状況が不明な親」の相続では、放棄も選択肢として早期判断する必要があります。

2. よくある失敗例と誤解ポイント

相続放棄で“やってはいけない”ありがちな行動

  • 遺品を少しだけ片付けた
     →「掃除しただけ」と思っていても、“財産を管理・処分した”と見なされる恐れがあります。
  • 家の鍵を預かって自由に出入りした
     →相続財産に自由にアクセスできる状態は「承認した」と見なされる可能性あり。
  • 故人の口座からお金を引き出した
     →1円でも引き出した時点で「相続を承認した」とされ、放棄はほぼ認められません。
  • 仏壇や遺品を処分・リサイクルした
     →宗教的な意味合いにかかわらず、物理的処分行為はNG。
  • 光熱費や固定資産税を自ら支払った
     →名義や契約次第では、財産管理者として行動したと評価される可能性があります。

❌ よくある誤解(実は間違っているポイント)

  • 「申述書を出せば自動的に相続放棄が成立する」
     →✕ 実際は、家庭裁判所の審査と“受理”が必要です。
  • 「相続放棄すれば遺品を持ち帰ってもOK」
     →✕ 持ち帰った時点で「財産取得」と判断され、放棄無効の可能性大です。
  • 「放棄すれば他の相続人にも影響しない」
     →✕ 自分が放棄すれば、次順位(兄弟姉妹など)に相続が移動します。
  • 「形見分けなら処分しても大丈夫」
     →✕ 「形見」としての処分でも、裁判所の判断では相続財産の一部扱いになるリスクがあります。
  • 「家庭裁判所が柔軟に判断してくれる」
     →✕ 多くのケースでは、形式と行動の一貫性で厳格に判断されます。

「これは大丈夫かな?」と迷ったら、自己判断せず立ち止まること
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5. 相続放棄の次に考えるべきこと(関連記事リンク)

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